生い立ちの記①
少しずつ書き残そう。
振り返ることで、未来が見えてきたら…
とも、思う。
48年前、8月の暑い昼下がりに私は、この世に生を受ける。
先の大戦で、父親を無くし母子家庭で育まれた父と、終戦直前に六人兄弟の五番目として生まれた母。
そんな二人が結婚して二年目の夏だった。
父は、父親を知らない負い目があった。自分なりの愛情表現を模索しながらの生活。母に対しての愛情表現も武骨で自分勝手だった。
母は、自由な自己表現を自ら封印するような青春時代をすごしたいた。兄弟のみならず、未婚の叔父たちもいる大家族、病弱な父親に変わり家計を支える母親、矍鑠とした祖父の中で、家事の中核を担っていた。『家族の為』に、青春を捧げていた。
ある時出会った二人、時を重ね、共に歩く道を選び、お互いの夢をそこに重ねた。
父と母の生い立ちは、幼い頃から何度となく耳にしていた。自らのルーツを知る事が、人のアイデンティティーの確立に重要だと言うことを知っていたからなのか、体験からなのか…
私の中に流れる血と、この肉体の構成要因が何かは、わりと早いうちから私の心に刷り込まれていたのだった。ついでに言えば、祖母たちの語る昔物語も私の情緒の一部に、織り込まれている。それも、ごく自然に…